Herz sprich lauter! 心情吐露
強いられた 沈黙から
解放された今
僕は誰とでも 喋りまくりたい
渡辺順三
Von erzwungenem Schweigen
Heute befreit
Möcht` ich mit allen und jedem reden und reden
Watanabe Junzó
2024年(公演初演)は日本でも「エミールと探偵たち」などの児童文学で有名なエーリッヒ・ケストナーの生誕125周年でした。彼と同時代の詩人リンゲルナッツや、並行した時代に日本の詩人が書いた戦中、戦後の作品に照準をあてて、古嵜 靖子とシビッレ・ドゥーㇺ・アルナウドフが製作した環コンパッション・アーツのプログラムです。歌とピアノ、語り、舞台、映像による総合劇場作品をお楽しみお下さい。
家庭にある「救急箱」には、胃薬や絆創膏が入っています。でも、心の痛みには何を使えばいいのでしょう?エーリッヒ・ケストナーの「人生処方詩集」は、そんな心の症状を和らげるために書かれました。この詩集にはユーモア、皮肉、憤怒が詰まっており、心のデトックスに最適です。
ナチスに抗いながらも自国を離れなかったケストナーの詩を通して、彼の強さ、批判精神を感じてください。戦後、世の中が少しも良くならなかった際の失望は、彼だけでなく多くの人が共有しました。やっと自由にものが言えるようになった時に生まれた詩の数々には力がこもっています。
公演では、リンゲルナッツの、普通とは少々違う「赤ずきんちゃん」が語られたり、落語のような「オオカミの大しくじり」(猪本隆作曲)などを通して、笑いのパワー全開です。
ピカソの反戦壁画「ゲルニカ」を見て一気に書かれたピアノ曲(デッサウ作曲)、ナジム・ヒクメットの詩「死んだ少女」は広島の原爆投下10年後に発表され、ドイツと日本の曲で紹介されますのでその違いを鑑賞してください。
また、今から80年も前にケストナーが書いた「合成人間」では、彼が現代のAIを早くも先見していたことに驚かされます。
ドイツ語の歌には日本語字幕が用意され、日本語の歌はドイツ語訳をライナ-・ヴォルフが語ります。歌は古嵜 靖子、ピアノはコルネリス・ヴィットへフト、舞台・ヴィデオはシビッレ・ドゥーム・アルナウドフの制作で行います。
戦争が身近に起こっている今だからこそ、ケストナーや同時代の人々の言葉が私たちの心に響くことを願っています。ぜひご参加ください!